「効率と衡平、どちらを重視すべきか? - 日本経済において」
「効率と衡平、どちらを重視すべきか? - 日本経済において」
1.はじめに
グローバル化、人口の高齢化、地球環境問題など、多種多様な課題を抱える現代社会を我々は今後どう生きていくべきなのか「効率」と「衡平」をキーワードに望ましい社会経済システムとはどのようなものなのかを考察する。まず効率と衡平を定義し、その後「福祉国家」の現状と課題を明らかにし、今後の社会経済システムを提案する。「効率」とは資源を余りなく分配することとし、「衡平」とは一部の人々が極端に厚遇されたり逆に不遇であるといった社会的境遇に格差のないことと定義する。なお本稿において福祉国家とは経済的再生産と分配過程への介入を行う国とする。
2.本論
出所)OECD.Stat より筆者作成
図表から一般政府支出に占める公的社会支出の割合が増加しているのが分かる。福祉国家を促した主要因は人口増加や人口構成の変化による経済・社会的要因、中央集権化や行政の高度化・官僚制の発達に伴う行政的要因、選挙権拡大や労働者利益を代表する社会民主主義政党の発展による政治的要因の3つが考えられる。更に、経済成長の鈍化や失業率上昇に伴う財源の伸び悩み、少子高齢化や相互扶助機能の低下に伴う社会保障ニーズの増加により福祉国家が危機に瀕している。したがって日本政府は、1億総活躍社会というキャッチフレーズのもと、トリクルダウン効果に頼らず積極的な労働市場への介入(例:規制緩和や正社員登用制度など)によって日本社会全体の「効率」「衡平」を促そうとしているのがわかる。
3.結論
以上のことから私は、政府はまず「効率性」を重視し個人の経済活動の自由や技能を開放することによって、豊かな人間的生活を追求するべきだと考える。その過程で市場が存在しないならば、市場を独占されないよう「衡平性」を保障しつつ市場を創造していくべきだと考える。そうした個人の経済活動のインフラを政府が保障し、その他創造的な活動については個人の活動を促していく社会経済システムを提案する。
4.参考文献
幸せのための経済学――効率と衡平の考え方 (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)
- 作者: 蓼沼宏一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/06/22
- メディア: 新書
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