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経済学部生のメモメモ

「東芝やソニーが苦戦しているみたいなので、今の日本にとって円高が問題なのか調べてみた」

1.はじめに

 近年、日本では円高の影響による製造業の衰退が騒がれている。なかでも電化製品を主力とするSONY東芝などの業績不振は連日ニュースを賑わしている。しかし、先進国の日本において電化製品といった低付加価値財(ex.電気機器)をこれからも作り続けていく必要があるのだろうか。より高付加価値財(ex.金融、IT)にシフトすべきなのではないか。ここでは、現在の日本において、円高はさほど問題ではないと考え、日本の新たな産業構造を提案する。『再輸入期』『産業別経済成長貢献度』をキーワードに考察していきたいと思う。

 その前に円高が与える低付加価値財(ex.電気機器)への影響、一国の貿易における模式図、日本の産業構造を整理する。

 *円高が低付加価値財(ex.電気機器)へ与える影響は、同じ電気機器を生産する外国企業との相対的な競争力低下につながる。これは、円高によりいままで1$=100円だったのが1$=80円となり、$売上を円に直すときに、1$あたり20円損することを表している。

 円高:1$=100円 → 1$=80円

 損失:1$=-20

 *一国の貿易における模式図とは輸入期→輸入代替期→輸出期→再輸入期へと推移する。これは、産業が農業のみの時期には工業製品は輸入に頼る比重が大きく、それを国内生産することで輸入代替期を迎え、のちに輸出できるほどにまで成長を遂げ、最終的には、より安価に生産する国が台頭し輸出力が弱まる時期になるという模式図である。

 輸入期:農業が主で工業が発達していない時期

 輸入代替期:輸入に頼っていた工業製品を国内生産する時期

 輸出期:国内生産した工業製品を輸出する時期

 再輸入期:安価製品に輸出を奪われる時期

 

 日本の産業構造については下記にて詳細を示す。

2.本論

 日本における各産業の経済成長への貢献度を表に示す。

f:id:kitonkune:20151112022613p:plain

 続いて4カ国の各産業の経済成長への貢献度を表に示す。横軸を比較した際アメリカと日本の各産業のGDP貢献度が似ていることがわかる。

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 産業構造が似ていながら経済が停滞している理由の一つに日本の産業構造のバランスの悪さと各産業が軒並み貢献度が低いことが挙げられる。これは、日本では飲食・宿泊業などのサービス業のプレゼンスの低さと生産性の低さ(=貢献度の低さ)が原因である。

 よく『産業構造のシフト』議論の際にアメリカを追随すべきではない理由として、日本と産業構造が異なるためという論調が見受けられるが、上記のOECDのデータからこれは反証されることがわかった。

3.結論

 以上のことから日本はすでに再輸入期を迎えており、既存の産業構造に頼っているようでは労働集約的である韓国や台湾などに太刀打ち出来ないことがわかった。したがって、より高付加価値生産が可能であるサービス業(ex.金融、IT)などの第3次産業を創造し、その過程でアメリカへの重層的追跡が必要になると考える。

 

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