アジア 人口爆発 アジア経済に起きたこととは - 少子化のメリットと人口ボーナス
対象読者
人口面から見たアジア経済の今後を知りたい方
少子化が与えるメリットを知りたい方
概要
1.アジア人口増加率は低下期に入っていることを観察
2.アジア各国の人口構成が急速に「少子高齢化」に向かっていることを観察
3.少子化が始まった国が手にする「人口ボーナス」を観察
4.まとめ
1.アジア人口増加率は低下期に入っていることを観察
図.アジア合計特殊出生率推移
(資料)内閣府,平成25年度 少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(少子化社会対策白書)を修正して転載.
*合計特殊出生率:一人の女性が生涯を通じて産む子供の数
合計特殊出生率が減少する理由はライベンシュタイン・モデル(出生の効用と不効用)で説明ができます。
簡単に言うと、子供を産んで得られる喜び<産まないで得られる喜びという等式が成り立つということです。詳細は下記参照。
2.アジア各国の人口構成が急速に「少子高齢化」に向かっていることを観察
アジアの高齢化スピードはヨーロッパ諸国と比較しても倍以上のスピードです。高齢化率7%→14%になるまでの倍加年数はフランス115年、スウェーデン85年、ドイツ40年に対し、日本24年、韓国18年、タイ22年となっています。
日本がいち早く打開策を打ち出せればそれを元に再び世界を席巻できる事が予想されます。そのため、この分野でのビジネスモデルを確立することによって、日本経済活性化を図るため安倍総理は新3本の矢で介護離職率0%を掲げたと推測できます。
3.少子化が始まった国が手にする「人口ボーナス」を観察
貯蓄ができる期間は生産年齢人口(15歳〜65歳)とされています。
一国の人口は、①少子化→②高齢化→③少子高齢化社会へと変化していきます。
①先進国からの援助で子供の死亡率が低くなるため、出稼ぎに必要な子供を追加で産まなくて良くなるためです。
②国内医療の発達によって寿命が伸びるためです。
③①,②が起こったあとに総称して少子高齢化社会となります。
少子化が始まった国は、生産年齢人口比率が増えるという「人口ボーナス」を手にします。
*人口ボーナス:少子化によって生産年齢人口が増え、貯蓄、投資を通じ経済発展を遂げる事。
人口ボーナスの流れ:
1.生産年齢人口が増え1国の貯蓄額が増加
2.金融仲介メカニズム(銀行が収益性の高いところへ投資する)が動く
2-1.企業へ投資
2-1-1.企業が工場増設や機械の拡充などへ投資
2-2.国債を購入
2-2-1.国債を買ってもらったお金を元手として政府がインフラなどに投資
3.1国の資本が増加する(=資本貯蓄 capital accumulation)
4.こうして1国の経済は発展していく
人口ボーナスは、先進国へ追いつくためチャンス期間だと言われています。
具体的にやるべきこと
- 生産性の高い就業場所を用意する
- 労働者の技能などの向上(ex.高等専門学校など)
- 貯蓄を生産性の高い企業への投資できるように金融システム整備(ex.投資環境)
- 高齢社会への備えをする期間(ex.社会サービス、年金など)
4.まとめ
・アジアの人口は次第に減少し人口面を利用した経済発展は「日本や韓国」ほど期待できない。
・アジアが人口ボーナスを利用していち早く先進国と並ぶためには「ASEAN」など協力が必要となる。
・人口ボーナスは、「先進国へ追いつくためチャンス期間」
参考
[1]大泉・小山田編『開発途上国における少子高齢化社会と共存』アジア経済研究所 2012年